遺産の配分において最も優先されるのは遺言書であることは先に書きましたが、遺言をしたからと言って完全に遺言者の自由にはならないというのが日本の法律の難しいところです。
遺言で完全に自由に遺産を分配できるとなると、残された遺族の権利が著しく侵害される恐れがあるからでしょうね。
そこで、特に近しい親族には「遺留分」という制度が設けられています。
つまり、相続の最低保証みたいなもんですね。
遺留分が認められている人は、配偶者・直系卑属(子や孫)・直系尊属(両親など)となります。
法定相続人のうち、第三順位の兄弟姉妹にだけは、この「遺留分」は認められていません。
遺留分の割合は次のようになっています。
配偶者のみ |
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遺産の2分の1が遺留分 |
配偶者+子 |
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遺産の2分の1が遺留分 |
子のみ |
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遺産の2分の1が遺留分 |
親だけが相続 |
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遺産の3分の1が遺留分 |
直系尊属(親など)だけが相続人の場合は3分の1、それ以外は半分と覚えましょう。
例えば、長男と次男が相続人の場合で、長男だけに全額相続させる遺言が見つかったとします。
それを次男が認めれば遺言通り長男が全額相続することになります。
しかし次男が不服であるならば、遺留分の減殺請求をすれば上記の通り法定相続分の2分の1は権利を守ることができます。
[例] 遺産が1000万円の場合
次男の法定相続分(500万)×2分の1 = 遺留分250万円
なお、遺留分減殺請求の訴えは遺留分の侵害があったことを知った日から1年以内、または相続開始から10年以内にしなければなりません。
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