【帰化と年金未納の関係】
当事務所の無料相談で、「年金を全く払ってないんですが、帰化できますか?」という質問が最近非常に増えてきたので解説したいと思います。
【帰化申請で年金も審査の対象に】
今までは、帰化をするにあたって「年金納付状況」を書面で確認されるということは実質的にはほとんどありませんでした。
しかし外国人登録制度の改正に伴って、帰化の申請者に対する年金納付状況の確認が強化されました。
これにより、今後は原則として最低でも直近1年分の年金を納付していることを証明できる何らかの書類を添付することが求められることになるでしょう。
今まで帰化の条件を満たされていた方でも、これからは条件を満たしていないとみなされる可能性が出てきたということです。
今回の年金納付状況確認は、帰化の条件の一つ「素行要件」を根拠としています。
つまり、「日本の法律を守って生活している人かどうか」という要件の確認を強化しようという考えです。
1.何年間見られるのか
基本的には、直近年度(1年分)を証明します。
但し、法務局の担当官によってはもっと遡った履歴を確認する場合もあります。
2.未納だった場合はさかのぼって何年分払えばいいか
年金が未納であった場合でも、基本的には直近1年程度さかのぼって納めれば申請可能です。
その根拠は、住民税(市県民税)との比較です。
現在、所得税・住民税は納税証明書の提出義務のある年度(直近1~2年程度)が納税されていれば実質的に問題になることはほとんどありません。
社会通念上、納税義務>年金納付義務であることは間違いないと思いますので、税よりは厳格ではないはずです。
とは言え、国民年金1年分でも20万円近くは納付しなければなりませんので、厳しいのは厳しいですよね。
尚、わざわざ年金をさかのぼって納めなくても大丈夫な場合もありますので、微妙な場合は無料相談をご利用下さい。
3.所得が少ない人はどうするか
前年度の所得が少なかった方や働いていなかった方などは、年金の免除手続きをして頂ければ問題ありません。
但し、同居親族にしっかりした所得がある方がいらっしゃらない場合は、生計要件(収入の条件)の面で厳しくなる場合があります。
4.対象は誰か
年金未納が問題になる範囲は、申請者本人だけなのか同居親族も含まれるのか・・・
これは非常に大きな問題であり、難しい問題です。
例えば、申請者さんは会社員(年金は給与天引き)、同居のお父さんが個人事業主で国民年金未納というのは良くあるケースです。
年金未納は前述の通り申請者本人さんの「素行要件」の問題ですから、支払い状況を確認するのは原則として本人さんのみであるべきと考えられます。
ただ、地域によっては今後、同居親族の年金履歴を確認されるという可能性は否定できません。
5.年配の方はどうなるのか
年配の在日外国人の場合、年金に加入している(支払っている)方は若い人に比べると少ないと思います。
理由としては、
そもそも昔は在日外国人に年金制度が無かった
年配の在日外国人はサラリーマンである割合が低く厚生年金に入れない人が多い
ということが考えられると思います。
このような方が年金未納であった場合、上記2番で解説したように直近分の年金保険料を遡って支払ったところで、加入期間の関係上、年金の支給が受けられずに損をしてしまうということが考えられます。
つまり、「帰化のためだけの納付」になってしまうということです。
このような一見ムダのような遡及納付を求められてしまうのでしょうか?
このような案件では、さかのぼって支払わなければならないケースと、支払わなくても帰化の申請には差し支えないケースがあります。気になる方は当事務所の無料相談をご利用下さい。
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