古物商には許可が必要です

中古品を売買する人や会社は、原則として古物商許可を取得しなければなりません。
そしてその古物商許可を取得するためには、営業所を管轄する警察署を経由して都道府県の公安委員会に対して
許可申請をしなければなりません。

 申請の流れをご紹介します

我々行政書士のような古物商許可申請のプロに依頼すると、出来上がった書類一式にサインをして提出するぐらいでほとんど何もすることなく古物商許可が取れてしまうのですが、プロに依頼すると手数料がかかるので、ご自身で許可申請をされる方もいらっしゃいます。

ここでは、
ご自身で古物商の許可申請をした場合、許可を取得するまでどのような流れになるかを解説します。

(ご注意!)
最近、以下のようなサービスを利用し、不許可になってしまう事態が急増しています。
画面の案内に従って入力するだけで書類が作れると謳う
書類自動作成サービス
資格を持たない会社が提携の行政書士に丸投げするサービス
詳しくはこちらを参照して下さい。


それでは、古物商許可を取得する流れをご案内して行きます。

 1.古物商の許可が必要かどうか

それではまず初めにしなければならないことはなんでしょうか?
そうです、自分は古物商の許可を取らなければならないのかどうか?を確認する作業です。
以下に該当する方は、
古物商の許可を取らないと無許可営業になってしまいますのでご注意下さい。

中古品を買い取って売る
仕入れた中古品を手直しして売る
仕入れた中古品の使えそうな部品だけ売る
商品を預かって、売れたら手数料を貰う
 (委託販売といいます)
仕入れた中古品をレンタルする
中古品を別の品物と交換する

どうでしょうか?
当てはまりましたでしょうか?
これらは、フリマアプリやオークションサイトなどネットで売買するケースも同様です。

ただ、上記に当てはまったからと言って必ずしも古物商許可が必要であるとは限りません。
例外的に古物商許可が必要ないケースもあります。

[不要1]自分で使用する為に買ったものを売る
自分で遊ぶ為に買ったゲームソフト、読みたかった本、着なくなった服などがこれに当たります。
これらをヤフオクやフリマに売るためにわざわざ古物商を取らないといけなくなったら、相当面倒ですよね?

[不要2]無償で貰ったものを売る
そもそも古物営業法は、盗品の流出を防ぐ目的で作られた法律です。
通常、盗まれた品物が全く金品との交換なしに流通することは考え辛い(盗む側にメリットが無い)ことから、このルールが定められています。

[不要3]海外から買ってきたものを売る
中古品の仕入れ先が海外のみであれば、古物商の許可は必要ありません。
但し、少しでも国内仕入れの中古品を取り扱うことがあれば古物商許可を取得しておきましょう。
また、海外で中古品を買う行為を別の会社が行い、それを仕入れる場合にも古物商許可が必要となります。

[不要4]自分が売った相手から、その商品を買い戻す

 2.営業所をどこに設定するか

古物商許可が必要だと確認できたら、次は今の状況で実際に許可が取れるのかどうかを検討しなければなりません。
不許可になりますと、書類を集めたりしても無駄に終わりますし、警察署で支払った収入証紙代(19,000円)も返ってきませんので、ここは事前にしっかり確認しておきたいところです。

許可されるかどうかで一番引っかかりやすいのが、
古物商として使える営業所があるかどうかです。
特に、初めて古物商の許可を取られる方はここで悩まれることが多いです。

古物営業法で言う営業所とは、古物の管理者が常勤し、中古品を仕入れたり、古物台帳(売買の記録)を保管・管理する場所の事を言います。
古物商プレート(標識)も掲示する義務があります。

勘違いされやすいのですが、ネット通販専門で顧客の出入りが無いような業態でも、
古物商許可を取るためには必ず営業所が必要になります。
営業所は全国に何箇所置いても構いませんが、それぞれに申請が必要ですし、常勤できる古物管理者を全ての営業所に配置しなければならないので、よっぽど手広く商売をする大会社を除けば営業所は1箇所のみの申請になることがほとんどです。
個人申請ではご自宅、法人申請では本店所在地に置くケースが多いですが、それ以外の場所を借りるなどして営業所にすることもできます。

さて、一番大事な「営業所として使用できるのか?」という話に入りますが、その物件の所有者が誰かによって判定方法が変わってきます。
それぞれのケースごとに見て行きましょう。

A.ご自身の持ち物の場合
分譲住宅を買われた場合など、ご自身(古物を取りたい人)が登記上の所有者になっている物件は、基本的に営業所として使用できます。
但し、地域やその建物内で商行為を禁止されている等の特別な決まりがあれば事前に確認しておきましょう。

B.賃貸物件の場合
他社から賃貸している物件では、2点ほど確認事項があります。
「借りているのは誰か」・・・物件の借主は、古物の申請者でなければなりません。
「使用目的は」・・・賃貸借契約書の使用目的の項目を確認して頂いて、古物の営業所として使える契約になっていれば問題ありません。
ただ、住む為に借りているような物件ですと、使用目的は住居用となっているケースがほとんどです。
その場合は、古物商の営業所として使っていいよという内容の使用承諾書を作成し、貸主さんの捺印を貰う必要が出てくる場合があります。
(警察署の管轄によっては、使用承諾書を求めないところもあります)
※尚、この使用承諾書は古物商サポートを受けられる方には無料でお作りしています。

また、当事務所では該当の警察署の所轄担当官に対し、使用承諾書が必要かどうかの
事前確認と使用承諾書を提出しなくても済むようにできないかどうかの交渉無料でさせて頂いております。
詳しくはこちらをお読み下さい。

C.家族や知人の持ち物件の場合
ご家族や友人知人の持っている不動産(又はそのうちの1部屋)を使う、という方法もあります。
その場合は、古物商の営業所として使っていいよという内容の使用承諾書を作成し、持ち主さんの捺印を貰う必要が出てくる場合があります。
(警察署の管轄によっては、使用承諾書を求めないところもあります)
※尚、この使用承諾書は古物商サポートを受けられる方には無料でお作りしています。

ちなみに、いわゆるバーチャルオフィスは基本的に営業所として設定することはできません。
(但し、施錠ができる専用の個室がある等、事務所の独立性が確保されている契約なら営業所として設定可能な場合があります。)

また、営業所の地域を管轄する警察署が申請場所になりますので、営業所をどこにするかで後述の警察署の管轄が決まります。

 3.他に許可の条件はある?

前述の通り、上記の営業所確保ができれば、古物商の許可はほぼ受けられるでしょう。
但し、厳密に言えばそれ以外にも欠格要件という条件がありますので、念のため確認しておきましょう。

ざっくり言えば犯罪を犯した人などがそれに当たりますが、一定期間経過していたり執行猶予期間が終わっていれば問題ありません。
心当たりのある方は、古物商の許可を取れないのはこんな人をご参照下さい。
法人申請の場合は、上記のような人が役員にいないかどうかも確認する必要があります。

 4.個人or法人

良く、「古物商を取りたいのですが、個人で取るべきですか?法人で取るべきですか?」というご質問を頂きます。
このあたりは混同されやすいのですが、個人と法人は全く別物とお考え下さい。

例えば、山田太郎さんという人が古物営業をしたいとしましょう。

個人で営業される場合は、適当な屋号(例:ヤマダリサイクル)を付けて、山田さん個人の事業として中古品を売買することになります。
利益が出れば、毎年春に前年分の儲けを確定申告をすることになります。

法人で営業される場合は、まずは株式会社ヤマダリサイクルなどの「会社」を設立し登記しなければなりません。
そして、宣伝や商品の売買も全て会社名義で行い、毎年決算期には確定申告を行います。

会社に古物商許可を持っている人がいればその会社が中古品を取り扱えると勘違いしている人が時々いらっしゃいますが、そうではありません。
個人と会社の許可は全くの別物です。

個人で許可を持っている人が自分の会社を設立したとしても、その会社で古物営業ができるわけではありませんし、一人で個人と法人両方の管理者を兼任することはできませんので、法人の許可を取った時点で個人の許可は返納するケースがほとんどです。

 5.古物商の種類は

一口に古物商といっても、その種類は13種類あります。

美術品 絵画・版画・骨董品・アンティーク物など
衣 類 古着・着物・小物類・子供服など
時計・宝飾品 時計・宝石・アクセサリーなど
自動車 4輪自動車・タイヤ・部品など
自動二輪・原付 バイク・タイヤ・部品など
自転車 自転車・タイヤ・部品など
写真機 カメラ・レンズ・双眼鏡・望遠鏡など
事務機器  パソコンとその周辺機器・コピー・ファックス・ワープロ・電話機など
機械工具 工作機械・土木機械・電気機械・各種工具など
道 具 家具・スポーツ用具・ゲームソフト・レコード・CD・DVD・日用雑貨など
皮革・ゴム製品 バッグ・靴など
書 籍  いわゆる古本
金 券  商品券・航空券・高速チケットなど


これら13種類の中で、ご自身がどれを扱いたいのかを決めます。
① メインの品目を、1つだけ決める
② それ以外にも取り扱う予定のあるものを全て選ぶ(複数可)

メインは1つだけ、それ以外の取り扱い品目は複数選択することができます。
ですので極端な話、13種類全てを選択することもできるわけですが、警察署によっては「本当に全部するの~?」といい顔をされなかったり、品目によっては種々の制限がかかる可能性があります。(例:中古車を取り扱う場合には、数台の駐車スペースが必要になる場合がある)
ですので、②については実際に取り扱う予定のもの、取り扱う可能性があるものだけをお選び頂くのがベターです。

 6.管理者を決める

次に、営業所に常勤する管理者を決めなくてはなりません。
古物営業で言うところの管理者とは、古物売買の責任者で、古物台帳を管理する人です。
また、所轄警察の窓口になる責任者の役割も果たします。

個人で古物商許可を申請される方は、
99%が申請者=管理者を兼任のパターンですから分かりやすいですよね。

法人だと営業所が複数あるケースも多いですが、この場合は各営業所に管理者を置かなければなりません。

管理者の条件は以下の通りです。
① その営業所に常勤性があること
※遠地に住んでいる人など、毎日の通勤が困難な人は選任できません。
② 古物商許可者本人またはその従業員
③ 欠格要件に該当しない
※ほぼ申請者の欠格要件と同じになっています。

 7.ネットで売買する場合

ネットで古物を売買する方は非常に多いのですが、ネットでの古物売買に利用するためのホームページやネットショッピングモールのプロフィールページを使うには、警察署への届出が必要になります。

この届出は、
古物商許可の申請時に同時に行うことができますので、許可申請の時点でURLを取れているのであれば同時に提出するほうが楽です。
(許可申請の時点でURLが存在しない場合は、許可が下りてから改めて届出をするしかありません)

この届出をするためには、添付資料としてURLの使用権限を疎明する資料を用意しなければなりませんが、このURLの使用権限を疎明する資料は具体的に何を添付するのが正解なのか
ハッキリと決まっていないことが悩ましいのです。
決まってはいないのですが、要するにその
URLと古物の申請者がつながればいいのです。

① 独自ドメインを取得している場合
まずは、ドメイン検索サイトでそのドメインの所有者・使用者を確認してみましょう。
そのドメインの所有者または使用者=古物商の申請者になっていれば、それをプリントアウトすればOKです。
上記でご自身のお名前が出てこない場合は、ドメイン取得代行会社等に代行してもらっている可能性がありますので、代行会社にご相談下さい。
それでも解決しなければ、プロバイダからドメイン割当通知書を発行して貰うか、新規にURL使用承諾書を作成する方法もあります。

② 他社のサイト内でページの割当を受けている場合
他社のサイト内ページの割当を受けてHPを開設している場合も、そのURLを使用する権限があるかどうかを証明する必要があります。
証明として良く使用されているものは、プロバイダから「郵送」「FAX」「メール」で送られて来たもので、例えば
・登録完了のお知らせ
・設定通知書
・ユーザー証明書
・ドメイン取得証
などがそれにあたります。
名称はそれぞれ違いますが、要するに使用したいURLと古物の申請者名がつながればいいのです。
また、ユーザーのコントロールパネルなどが存在すれば、その中にURLとお名前を結びつけるような画面があれば、そのスクリーンショットを印刷したものでも通用する場合があります。

③ オークションサイトやショッピングサイトで売買する場合
例えばアマゾンの出品者プロフィールなど、固有のページが存在する場合は、そのURLを届出なければなりません。
そのオークションサイトやショッピングサイトに、固有のプロフィールページが無ければ、URLの届出自体必要ありません。

逆に、URLの届出が必要ないケースをご紹介します。
・そもそもネットで古物営業を一切しない
・ホームページはあるが、それを使った古物の販売や買取りはしない
・非対面取引は行わず、かつその旨を明示している
※URLの届出が必要なくても、取引先とのメールや郵便物・名刺等に許可番号を明記して古物商許可を受けていることを明らかにするほうが望ましいです。

最後に、これは古物商許可が下りてからの話になるのですが、URLの届出をした該当ページに許可番号等を記載しなければなりません。
ホームページをお持ちであれば、トップページか古物営業法に基づく表示というリンクをされているサブページに記載して下さい。
ホームページ以外のページを使用する場合は、該当のページに記載します。

[表示例]
○○県公安委員会
第xxxxxxxxxxxx号
山田リサイクル

 8.どこに書類を提出するのか?

どこに書類の提出をするのかを確認しなければ、申請のしようがないですよね。

古物商許可は各都道府県の公安委員会(東京都は警視庁)に対して申請をするということになっていますが、実際に書類を提出するのは実は所轄(地域の警察署)の生活安全課に対して行います。

ところが、近くの警察署であればどこでもいいというわけではないのです。
警察には必ず「管轄」というものがありますので、それを必ずご確認下さい。
簡単な調べ方としては、まず各都道府県の警察本部を検索エンジンで検索します。
「兵庫県警」などという風に入力して下さい。

そこへ電話をかけて古物の営業を行う場所を伝えれば、管轄警察の住所・電話番号などを親切に教えてくれるはずです。
このとき注意すべきは、古物商の
営業所の場所を管轄する警察を聞いて下さい。ご自分の住所ではありません。
住所地と営業所が違う場合はご注意下さい。

 9.警察署へ出向く

管轄の確認が終わったら、まずは管轄の警察署へ電話予約をして出向きましょう。
申請に必要な用紙一式がもらえ、さらに担当の方が親切な方の場合は(笑)許可申請の方法を説明してくれます。

申請用紙じたいはインターネットでダウンロードすることも可能ですが、書類作成前に管轄警察へ足を運ばれることをお勧めします。
というのも、古物商許可申請に必要な書類は実はケースバイケースで変動することが多いからで、誰にも頼らずご自身で許可申請をされる方の場合はこのステップを踏んでおくことは大切だと思います。
運悪く高圧的な担当官に当たりさえしなければ、書き方の説明等もして貰えるかも知れません。

尚、このステップを省略したいという方は古物商サポートをご検討下さい。

 10.書類を取り寄せる

用紙の入手が終わったらいよいよ書類の取寄せです。
取寄せ書類には主に以下のようなものがあります。

住民票
<1通300円前後>
お住まいの市区町村で簡単に取得することができます。
必ず
本籍地は記載・マイナンバーは省略のものが必要となります。
市区町村発行の身分証明書
<1通300円~600円>
 「身分証明書」と言っても免許証や保険証のようなものではありません。
ご自身が
「本籍地」を置いている市区役所で発行される証明書です。
本籍地が遠ければ、郵送などの手段を使って取寄せることになります。
登記されていないことの証明書
<1通300円>
この書類は2019年12月14日の法改正により提出書類ではなくなりました

成年被後見人や被保佐人に該当しないことを証明する書類です。
各都道府県の法務局本局で申請しましょう。
ただ、本局は各都道府県に1カ所しかありませんので、近くに本局がなければ東京法務局後見登録課へ郵送請求することもできます。

〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15
九段第2合同庁舎4階
東京法務局民事行政部後見登録課
土地・建物の登記簿謄本
<土地600円 建物600円>
 
 古物商の営業所として使用する場所が、自分や親族の名義であれば求められることが多いです。
 登記事項証明書
(履歴事項全部証明書)
<1通600円>
 法人(会社)で申請するのに必ず必要です。
最寄の法務局で入手して下さい。


書類を集めるのは面倒臭い!という方は古物商フルサポートをご検討下さい。

 11.書類を書く

取寄せも全て終わりましたら、書類の作成に入りましょう。

古物商許可申請書
5年間の略歴書   
欠格事由に該当しない誓約書  
URL使用権限を疎明する資料 ネットを利用して古物の売買を行うとき
賃貸借契約書  営業所が賃貸のとき
使用承諾書  警察署の管轄によっては求められる
中古車の保管場所証明資料   中古車を取り扱うとき
営業所在地図   
各種申立書・その他 警察署からリクエストがあったとき


取寄せた書類を良く見て、間違えないように丁寧に書いて下さい。

ふう~。。。慣れない作業でかなりお疲れでしょう。
あと一息です、がんばりましょう!

全ての書類が揃いましたら、必要箇所にサインし、日付を記入します。
但し1枚目の申請書の日付だけは、警察署での書類チェックが全て終わってから現地で書くようにしましょう。

書類を書くのは面倒臭い!という方は古物商サポートをご検討下さい。

 12.書類を提出

さあ、これで全ての準備ができました。
あとは提出するだけです。

許可申請の審査料(19,000円)が用意できましたら、警察署へ予約の電話を入れます。
上記で用意した書類の一式と身分証明書(運転免許証など)、訂正用の印鑑をお持ち下さい。

審査料は警察署内で清算できることが多いです。
書類を提出しましたら、30~40日前後で許可の通知が来ます。

 13.確定申告について

これから初めて事業をされる方であれば、税務署に対して開業届を提出する必要があります。

そして、利益が出れば翌年度の確定申告時期に税務署で確定申告をしましょう。

 おわりに

どうでしたか?
結構大変な作業だったと思います。

最後に・・・少しだけPRを。

当事務所の古物商フルサポートでは、上記のほとんどの書類収集・作成作業をお客様に代わってさせて頂きます。
面倒な古物商許可申請をプロにお任せ頂き、お客さまには古物商として仕入先や売上確保のために労力をお使い頂きたいと当事務所では考えています。

ぜひ一度ご検討下さい。

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